前にも書いたけど、書籍をつくるには口述筆記、すなわち著者の語りおろしを活字にまとめて制作する方法があります。(どの本が口述筆記で、どの本がそうでないかは普通、出版社の企業秘密です)。
口述筆記のやり方も、著者や作家によってまちまちで、収録時間や収録回数もてんでバラバラ。なので初めての著者とは、なかなか緊張感が走る場となります。
口述筆記の著者のタイプを分けるとしたら、3つでしょうか。
@ 話したことが、ほぼそのまま本になる人
A 話があちこち飛ぶけど、たくさん話す人
B 基本的にこちらの質問に答える人
やはり@の著者が、制作が順調にすすみます。ミケランジェロが大理石から人を彫りだすかのごとく、すでに著者の頭に出来上がったイメージどおりの作品が現れます。
Aの人は、まとめるのが大変だけど編集者の裁量に多くを任せてくれて、仕事が少し楽しかったりします。
Bは、白熱します。
質問を切らさないように、編集者は著者が話し終わらないうちに話の内容を確認しながらも次の質問を考え、相槌を打ちます。質問を用意しておく手間に加え、アドリブも要求されます。あっという間に収録時間が過ぎていきます。
そこで的確な質問と著者の充実した回答が積み重なると、読者が読んで面白い、腑に落ちる内容の書籍が出来上がるのです。
さまざまなタイプの著者がいるので、対応力と質問力が編集者に求められます。自分の質問力は、若手の頃と比べて上達しているんだろうか、と思うこともありますが、たぶん誰にもわかりません(笑)。
いつまでたっても上達した気がしないライフワークかもしれません。
読者の皆さんの、ライフワークは何ですか。
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